幼少期のトラウマ
「東京に行って、半年経って付き合えなかったら諦める」
私はそう決めていましたが、もうすぐ半年が経とうとしていました。
自分のメンタルもボロボロで、これ以上彼のことを好きでいても、幸せになれる気がしませんでした。
でも、一方的に無視をしたり、LINEをブロックしたりすることは、したくありませんでした。
最後は自分が納得できるように「付き合ってください」と言ってから、諦めようと思いました。
でもそう覚悟してから、また彼としばらく会えなくなってしまいました。
その間、連絡もなかった。
「わざわざ告白しなくても、どう思われてるのか、さすがにわかるよ……」
私はもう何も言いたくなかったし、彼に会いたいとすら、思えなくなっていました。
ただただ早く忘れたかった。
結局彼からの連絡はありませんでした。
こちらから連絡しても返事もありません。
サイレント期間の始まりでした。
会わずにいれば忘れられると思ったのですが、いつまで経っても私は彼のことを忘れられませんでした。
「あの時、別の言葉をかけておけばよかった」「私が彼のスケジュールに合わせて、会いに行けばよかった」
そんなことばかりが頭を巡ります。
恋愛でうまくいかなかった時、反省することは大切だと思います。
でも私は反省を通り越して、自分を責めてばかりでした。
ひとりで家にいると、涙が止まりませんでした。
私は、このままではいけないと思い、東京にいる友人に連絡をしました。
そして会う約束をして、彼のことや、自分が今どれだけ苦しいのかを聞いてもらいました。
人に話せば少しは気が楽になると思ったのです。
友人は私の話を真剣に聞いてくれました。
ヨガのインストラクターをしている彼女は、私にある仏教の言葉を教えてくれました。
「『第二の矢』って知ってる? 何か辛いことが起きた時、辛いと感じるのが第一の矢なの。誰でも第一の矢は受けてしまうもの。その後で、どうしてそれが起きてしまったのか、後悔して苦しむのが第二の矢。徳の高い僧侶や悟りを開いた人は、第二の矢は受けないの。無駄に苦しむことはない。自分を責めなくていいんだよ」
私は友人の言葉を聞いて、涙が溢れました。
そして心が少し軽くなった気がしました。
第二の矢は受けなくていい。
私はその言葉を聞いて、子供の頃に起きたある出来事を思い出しました。
それは父親から性的虐待を受けたことでした。
子供の頃は、それがおかしいことだと理解できませんでしたが、嫌悪感はありました。
嫌な気持ちだったけど、父親は毎日自分たちのために働いてくれてるのだから、これぐらい我慢しなければいけない。
そう思って、私は体を触られた時に、声をあげることができませんでした。
この時の体験が根深く残っていて、自分が愛されるには、自分も何かを差し出さなければならないと思い込んでいたのです。
だからツインレイの彼が、無条件に私のことを好きになるはずがないと思っていました。
それに、父のことを憎めばいいのか、許せばいいのか、どう接していいのかわからず長年悩んでいました。
私は悩んだ末に「憎みはしないけれど、許さなくてもいい」と決めました。
この結論が出たことで、この出来事は自分の中で終わったものだと思っていました。
でも無意識のうちに、被害を受けた時に「やめて」と言えなかった自分を、ずっと責めていたのです。
子供の頃の自分自身に、ずっと第二の矢を放ち続けていました。
こじつけのように思われるかもしれませんが、彼との関係に悩んだことがきっかけで、私はやっと子供の頃の自分を救うことができました。
サイレント期間中に、父は病気で他界しました。
これからはもっと自分のことを大切にしようと誓いました。
サイレント期間中の不思議な体験
私は3年半のサイレント期間中に、彼に2度会う機会がありました。
1度目は街で偶然会いました。
その時、とても不思議な体験をしたので、今回はその出来事を振り返りたいと思います。
父が他界し、問題がひと段落したからといって、すぐに苦しみから解放されるわけではありませんでした。
それに彼と連絡が取れず、会えないことへの苦しみもまだ続いていました。
私はすがるような気持ちで「フラワーエッセンス」を試してみることにしました。
「フラワーエッセンス」とは、ざっくり言うと、花のエネルギーを転写したお水のこと。
直接口にたらしたり、飲み物に数的滴らしてたりして使います。
最初は「なんだか怪しい……?」とも思ったのですが、コス●キッチンで普通に買えるし、女性誌でも紹介されていたので、試しに使ってみることにしました。
種類は「アバンダンスエッセンス」です。(おそらく一番有名なエッセンス)
自分にとって最も必要な豊かさをもたらしてくれるというものです。
最初に1本使ってみた時は、あまり効果を感じられませんでした。
そこで「アバンダンスプログラム」という、フラワーエッセンスを使った22日のプログラムを実践してみることにしました。
22日間、毎日何かしらの課題を1つずつこなしていくというプログラムで、エッセンスの効果をより感じられるそうです。
フラワーエッセンスとCD、冊子がセットにで売られているので、それを使います。
正直、最初は半信半疑でしたが、プログラムを実践することで、自分にとっての本当の豊かさとは何なのかを考える機会ができました。
ある日、もっとも幸せな記憶を思い出して感謝するという課題がありました。
私はいろいろと考えて、東京に来た時に、彼がレストランへ連れて行ってくれたこと、一緒のベッドで手を繋いで眠ってくれたことを思い出しました。
私の人生で、「自分はここにいていいのだ」という安心感をあの時ほど感じたことはありませんでした。
そして、私はその日の出来事に感謝をしました。
そのプログラムを行なった私は、友達と遊ぶために待ち合わせの場所へ向かっていました。
彼に対して「どうして連絡をくれないの?」とネガティブな感情ばかり持っていた私は、久しぶりに彼の優しさを思い出して、心が軽くなっていました。
彼からの連絡はないし、もう会うこともないかもしれない。恋愛として素直に好きと思えることはもうないかもしれない。それでも私にとって彼は大切な人なのです。
「あなたの彼女になれなくても、大切に思っているよ」と心の中で呟きました。
そして待ち合わせをしている駅に着いて外へ出ると、なんとそこには彼の姿があったのです。
「彼に感謝した日に、偶然会うなんて……」
私が見えないものの力を信じるようになったのは、この出来事がきっかけでした。
これまでツインレイについても知っていたし、占いも好きだし、なんとなくスピリチュアル的なことを信じてはいたものの、この体験によって、この世界には見えない力が働いているのだと確信に変わりました。
私は彼に話しかけようとしました。
でも彼は私に気づいていたはずなのに、すぐに顔を逸らしてしまったのです。
なんだかとても苦しそうな表情に見えました。
私は、彼にこんな表情をさせてしまうんだ。きっと私には彼を幸せにはできない。
とても悲しくなり、私は声をかけずに立ち去りました。
この出来事は、私たちが再会してもいいかどうかを試すために起きたのだと思っています。
サイレント期間は人によっては何度も繰り返すそうです。
この日はお互いに素直になれず、またしばらく会えない日が続きました。
本当の再会はまだ先
彼を諦めようと思い、私はとにかく色々なことをして、気を紛らわせようとしました。
友達と旅行、ショッピング、行きたかったカフェを巡ったり、仕事に没頭したり……。
忙しくしていると、彼のことを考える時間は減りました。
彼LINEの友達登録も、電話番号も削除しました。
それでも彼のことを思い出さない日はありませんでした。
身体の一部を失ったような感覚で、毎日を必死に生きていました。
早く忘れたくて、マッチングアプリに登録して、何人かの男性とデートをしていた時期もあります。
世の中には彼より趣味が合う人、優しい人、かっこいい人、お金を持っている人がいる。
「この人と結婚したら幸せになれるだろうな」と思える人とも出会うことができました。
でも好きという感情は生まれてこない。
人って「いい人」を好きになるわけじゃないんですよね。
誰かに会うたびに、彼の存在の大きさを知りました。
彼を偶然街で見かけてから半年ほどが経ったある時、彼から連絡があったのです。
<久しぶり。近々会えない?>
私は震える手で、自分が会える日を送りました。
でも、そこからまた返事が来なくなってしまいます。
「やっぱり私は無視できる程度の相手なんだ」
結局私が伝えた日にちも過ぎて、落ち着いていたメンタルも、また不安定に逆戻り。
そこから2週間ほどが経った頃、彼から<今から会える?>と連絡が来ました。
彼は相手の事情なんて考えずに、いつもこうやって突然誘う人なのです。
彼の変わらない、自分勝手な感じに嫌気がさしました。
でも「ここで会わなかったら後悔するかもしれない」という思いだけで、指定された場所に向かいました。
久しぶりに見る彼は、少し雰囲気が大人っぽくなっていました。
私たちは居酒屋に入って、会っていなかった期間のことを話しました。
帰り道、彼は「そろそろ、ちゃんと付き合う?」と言いました。
ここで素直な女の子なら、きっとイエスと答えているのでしょう。
でも私は、今までの出来事を思い出してしまいました。
「1年以上も連絡してこなかったのに、なんでそんなこと言うの?」
彼は「そうだな」と言って、それ以上は何も言いませんでした。
ここから、私たちのサイレント期間はもう少し続きます。
インナーチャイルドの癒し
彼へ天邪鬼な態度をとってしまい、まだまだ自分の中の執着やエゴを手放せていないと実感しました。
私はこのまま、ただ毎日を過ごしているだけでは、彼とは統合できない。
そう思って、本格的にインナーチャイルドを癒すための努力を始めます。
まずやってみたのは、自分の思いを口に出すこと。
相手に嫌われたくないという恐怖があって、自分の思いを伝えることが苦手でした。
これは私が長女だったことも、関係があると思います。
「お姉ちゃんなんだから」と言われ続けて育ちました。
弟が頼りなかったこともあって、余計に私がしっかりしなきゃと思ったものです。
やってみたのは、例えば行きたい場所を聞かれたら、心から行きたい場所を提案する。
嫌なことを言われたら「そういうことを言われると悲しい」と伝える。
仕事を頼まれても、キャパオーバーしそうなら、上司に相談する。(今までは徹夜して仕上げていました……)
そして母親に甘えてみる。
特に最後の「甘えてみる」は、父が死んだ後だから、できたのだと思います。
「いい歳なんだから」という気持ちもあったけれど、私には、心の中にいる子供の頃の自分が見えていました。
その子供の頃の自分は「甘えたい」と言っているのです。
これを続けているうちに、段々と自分が素直になっていることを実感しました。
次に心がけたのは、「自分がやりたくないこと」はしないということです。
ツインレイの統合には、心からやりたい仕事をすることも大切だと知りましたが、
「うーん、なんだか大袈裟だなぁ」という気持ちでした。
今の職場は成長できる環境で満足しているし、転職するにもこの年齢でできるのかわからない。
そこで「嫌なことをしない」というところから始めました。
苦手な友人とは、あまり関わらないようにする。
自分を磨く努力をしないといけない、という思い込みで通っていたジムを退会。
お昼はお弁当を持って行ってたのですが、面倒な時は作らずにギリギリまで寝てみる。
これらを実行しても、本当の友達とはずっと友達だし、上司から評価も下がらなかった。
少し体型が崩れたぐらいで、私の人生は悪い方へは傾かなかった。
こんなに自由に生きてもいいんだ。
それを感じた時、やっと私の中のインナーチャイルドが泣き止んでくれた気がしました。
そして、そんな生活を送るうちに、
「もっといろんな仕事がしたい」
「場所にとらわれずに働きたい」
と思うようになり、仕事で独立することを決めました。
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